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ぱー
waimai
RisuPon
ぽ
メイ
あやちゃん

クレーム処理

OLが電話対応をしている。いわば彼女はクレーム処理の仕事をしていて、日々淡々と、お客様から寄せられる苦情やら単なる世間話やら憂さ晴らしやらを処理している訳だが、その日は何だか様子が違った。

いつもならどんな客だろうと顔色一つ変えずに巧みな口調で客の機嫌をとってみせるのに、彼女は「はい、申し訳ございません…申し訳ございません…はい…はい、申し訳ございません…」と、同じように謝り続けるばかりで、次第にその声は弱気に、小さくなっていった。

同僚たちは、全く彼女のことなど気にとめる様子もなくいつも通り、機械のように淡々と、業務をこなしている。

「はい…すみません…はい…」

彼女の声は次第に掠れていって、次第に涙声になり、ついには肩を震わせて泣き出してしまった。俯いてしゃくり上げながらも、声にならない声で謝り続けている。同僚たちはやっとその様子に気づいて、少しあきれた様子で上司に目配せをする。すぐさま中年の上司がやってきて、電話対応を交代する。彼女は、ずっと俯いて肩を震わせている。

彼女はいつもと同じ時間に仕事を終え、職場を後にした。その日なぜ泣き出したのか、彼女に尋ねる者はいなかった。

その日、電車が遅れた。人身事故だった。

仕事帰りで疲れた人々でごった返したホームは殺気立ち、運動部の高校生たちの笑い声と混ざって異様な雰囲気が漂っていた。

彼女は家に帰ると前日の残りのおかずを温め、解凍したご飯と共に食べた。シャワーを浴び、薬を飲んですぐに眠りについた。

彼女は夢の中で、大学時代に戻っていた。彼女は山岳サークルの副部長で、毎年春と夏に合宿に行くのが一番の楽しみだった。山頂付近で写真を撮る時、彼女は中央の一番前にいて、見上げるように後ろを振り返ると、澄んだ空をバックに部員たちの生き生きとした顔が並んでいた。彼女はそれを見るのが好きだった。

シャッターの音と光で、彼女は目覚めた。

2018/10/10  アツシ