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あやちゃん

ビーガン旅行

4日ほど、イギリスの西の端っこにあるブリストルという街に行っていた。
そこに住むブリストル大学の友達がいたので、彼女のシェアハウスに泊めてもらい、ブリストルを案内してもらい、終始一緒だった。彼女はミナというハーフの子で、でも家ではずっと日本語で、しかもお母さん(なんとムサビ卒)が日本語教師のため、ミナの日本語は曖昧なところがなくしっかりしている。ミナは色々と私の持っていないものを持っていたり、私が持ち合わせている面倒なものを持っていなかったりしていて、昔から少し羨ましさを感じていた。チルなのにこだわりがあって、可愛いのにそれを意識させなくて(だからノー彼氏なのだろう)どこまでものほほんとしたやつ。そしてビーガンなのであった。
ビーガンなミナに泊めてもらうからには、ビーガン生活をすることが必須だ。そして私はこれをとても楽しみにしていた。
普段から鳥・豚・牛はあまり食べてはいなかったものの、冷蔵庫を開ければ卵は常備していたし、チーズ・ヨーグルト・牛乳などの乳製品もあった。豆?ビーガンチーズ?ビーツ?行きのバスの中でチーズのペーストリー(棒状のパイ生地パン)をかじりながら乳製品とサヨナラした。
ブリストルは坂道の多い、天気の変わりやすい街で、中心部にブリストル大学がある。Banksyの出身地なので、そこらかしこにグラフィティーが見られるし、クレーアニメのWallace & Grommitの発祥の地だったりして、面白いカルチャーの育つ土壌になっている。なので当然のように、食文化もひねりが効いていて、面白美味しかった。
繋ぎの文章より中身について書きたくなってしまったので飛ばすと、、
・グレープフルーツとギザギザのスプーン
シェア冷蔵庫を開けてミナの段を見てみると、小さなブロッコリーの房と、切り口がパカーっとなったズッキーニがいた。同じように野菜果物が乗ったトレイには 食べかけのグレープフルーツが。
「ミナこれ乾いちゃわない?」と聞くと、
「いや意外といけるよー」とベッドルームから返事が。「そんなんじゃプラスチックは使わないぞー」
なるほど。精進します。
翌朝起きてガサゴソしていると、キッチンから帰ってきたミナがベッドに座って何やら食べている。なになにと覗き込むと、真っ赤な果肉と銀ピカの道具。なになにと聞くと、
「グレープフルーツめっちゃ食べるから、お母さんが日本で買ってくれたの」、と「グレープフルーツ用スプーン」を差し出された。果肉に沿うように曲がったスプーンの先に、均等なギザギザが付いていた。それを実の薄皮と厚皮の間に這わせると、実がつるんと取れる。獲れたグレープフルーツをそのまま口へ運ぶ。21年間何となく無視していた果物を、簡単に好きになってしまった。
・Bulk Food Storeのシリアル
自分で瓶やら袋やらを持参して、何でも量り売りしてもらうbulk food。ロンドンにも何店舗かあるけども、遠くて行けていなかった。ミナはbulk foodの常連で、逆に普通のスーパーは高いと感じるようになったそうな。確かにパッケージ分の値段もそこそこあるだろうし、ちょこちょこと色々買えるのはありがたい。
私達はガラス瓶をいくつか布バッグにからころ言わせながら、家の目の前の坂道を登った。途中大学の寮、というかお屋敷の前を通り過ぎる。更に進むとグラフィティーでカラフルなインド料理屋や、チャリティショップなどがあり、その並びにbulk food storeがある。
店内はレバーを引いたり、スプーンですくったりして取り出せる食材がズラーっと並んでいた。パスタや穀物類はもちろん、ナッツやお茶、オイルまで色々と置いていた。中でも圧倒的に楽しいのはピーナッツバターで、ピーナッツが詰まったタンク(?)の下にブレンダーの刃が付いていて、ボタンを押すと、その場でピーナッツが粉砕されて、下からねりねりと出来立てのピーナッツバターが出てくるのである。ワンダフル。もう香りが既に美味しい。後からトーストにこのピーナッツバターと、デーツを乗っけて食べたけども、ナッツが香ばしいわ、デーツがねっとり甘いわで、こってり幸せだった。
最後に、クランベリークリスピーというシリアル(色々入りすぎてグラノーラって言っていいのか分からない)を大きな瓶に入れて、確かに驚くほど安いお代を払い、お店を後にした。
翌朝オートミルクに浸して(シリアルはミルクが被らないくらいが1番美味しいと言わせてほしい。それで美味しくなかったら、きっとそのシリアルは甘すぎる)食べたら、確かにカリカリとクリスピーで美味しかった。具材のかけら達をつつきながら
「でもさ、クランベリーほとんど入ってないよね」と私
「それな。あとレーズンがバカでかい」とミナ
「でもさ、ココナッツとかライスパフとか色々入ってて、よく分からんけど美味しいね」
「んね」
・八百屋のアーティチョーク
すっごい可愛くてお喋りなおばちゃんから ラセットアップル(見た目が錆びたような茶色で、原種に近い。かなり甘くてナッツのような香ばしさがある)、コールラビ(丸いエイリアン的な形をしていて、大根を更に甘くシャキッとさせたような野菜)と紫アーティチョークを買って、本屋に寄って帰った。家で、ラジオをつけて台所に立ち、ちょこちょこと色々作った。コールラビは生で充分美味しかったので、スライスしてビーガンマヨ(普通のマヨより美味しい!なんじゃこりゃ)にレモン汁を一絞り垂らしたものと一緒に。葉っぱはカブの葉と同じように、オイルで炒めてレモン汁で和える。他にもワカモレを作ろーと買ったアボカドをフォークの背でぎうぎう潰して、ニンニクを小さく刻み、ダイス切りにしたトマトと玉ねぎと混ぜる。「玉ネギ生だと辛くない?」と聞くと「しばらく塩も混ぜた具材と一緒にしとけば大丈夫っしょ」とミナ。ピリッと辛い、パンチの効いたワカモレができた。
そして主役のアーティチョーク。松ぼっくりのような形をしたつぼみの野菜で、主に地中海で育つが、日本ではほとんど見ない。私も伊丹十三のエッセイで読んでずっと食べたいと思っていたので、買ってきたアーティチョークを水ですすぎながらワクワクしていた。ミナが調べてくれた動画では、まず先端を少し切り落として、レモンと一緒に茹でて、そしてつぼみを一枚ずつ剥がして歯でしごいて食べる。ちょうど良く蒸し器があったので、スライスレモンと潰したニンニク、お湯が入った鍋に金属の蒸し器を広げ、先を少し切り落としたアーティチョークをのせて蒸した。15分ほどして蓋を開けると、湯気の中に、花のように少し開いた、柔らかそうなアーティチョークが転がっていた。
たくさんの器をテーブルに運んで、いただきまーす、とまずアーティチョークに手を伸ばす。花びら型の皮を外側から一枚はがし、根元の方を前歯でくわえて、スーッと引っ張る。すると、芋のような青菜のような、不思議な旨味たっぷりの味がした。食感ももふもふと繊維質の中間で、ちょっと例えようがない。2人とも「んー」とか「おー」とか声を出すばかりで、なかなか感想を言わない。しかもこれ、枝豆を殻から出すように一手間あるから、手を動かしながらちょこちょこずっと食べていられる。しかもしかも、つぼみの芯に近づくほど、柔らかくて食べられる部分が大きくなるので、食べ進めるのが楽しい。それで、以前シェアハウスでアンジーが作ってくれたバラキートコーヒーを思い出す。濃くて苦味のあるコーヒー部分を飲むと、下の方にコンデンスミルクが溜まっていて、2度美味しいのであった。「SWEET! Just like life!」と言っていたハッピー主義者の彼女を思い出す。
アーティチョークは皮を中心付近まで剥がしてしまうと、細長いエリンギのような形になる。そしてその部分は、丸ごとパクッと食べられるのである。至福。総体積を考えると、こんなに食べられる部分が少ないものはないが、それが憎くもアーティチョークの魅力を押し上げている。中心部だけを調理してオリーブオイルに漬けた瓶詰なんかもあるが、せめて最初だけでも、この手間のかかる、のんびりとした食べ方をしてほしい。
翌日は映画ROMAを、アーティチョークをつまみに観ました。

外食の話には触れていないけども、ブリストルには非常に美味しいビーガンメニューのあるカフェや、ベーカリー、マーケットなんかがあった。そこで試した色々についてはまたいずれ。
ただ、ミナと料理したり買い物したり食事したりする中で、食べ物やその周辺の環境への愛を感じた。それはとても素朴で、素敵なことで、スーパーでお買い得の品を買ったり、高いレストランで食事したりするだけでは芽生えないものだなと思った。大事にしたいし、伝えていけたら良いな。

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