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ひたいに勇気ってタトゥ

1 個性と事件

小林秀雄さんが「人間はその個性にあった事件に出会うものだ」って書いていたらしく(向田邦子『父の詫び状』)、確かにその通りだなあと思った。事件が個性を作るのか、個性が事件を引き寄せるのかはわからないけれど、なんかわかる。
変わった人に声をかけられたとか、カウンターで隣に座った客の会話が面白かったとか、友達の外出先で出会った話は聞いていて面白いけれど、彼女らではなく私が当事者だった世界は、想像はできてもしっくりこない。目の前の彼女が語る奇妙な話に耳を傾けながら、その話と彼女本人とを照らし合わせると、本当だ、この子らしい事件だなと不思議と思える。神様はその人に何が似合うのかを知っているのだろうか。

 

2 ひたいに勇気ってタトゥ

 

『みみをかして』2019.01.29

 

私は自分で思うより臆病で、上手にできることしかやらないし、はちゃめちゃに物事を決めているようで成功のイメージがつかないことは無意識に回避している気がする。だからこの悪い癖を少しでも矯正したくて、今年の目標は勇気、とにかく勇気を持つことで、もう手の甲とかひたいに書いといたほうがいいんじゃないかというぐらい。私の定義上での勇気がある人間とは、自分のやりたいことを素直にやることができる人っていう初歩の初歩の話なのでわざわざ言うのも恥ずかしいのだけれど。私にはまだまだ勇気が足りない。話したい人に話しかけられないし、会いたい人に会えないし、いつまでもぐずぐずおふろに入れない、ナンパもきっとできない、バンジージャンプもきっと飛べない。でも実際は入り口はいつでもそこにあるのだ。話しかけたい人のツイッターのdmは解放されているし、あの子はいつでも喫煙所にいるし、会いたい人に会えないと嘆きながら、彼らの家の住所はもう手に握られているではないか、ずっと昔から握り締めているではないか。ひたいに勇気ってタトゥ、鏡を覗き込むたび、絶対になくならない命綱を無垢なこころで信じたい。私はどこまでも自由だ。

さて私の1月の勇気は、「みみをかして」という一人芝居をすることだった。反省点も多く出たけれど、とりあえず無事に上演できたのでよかった。「舞台美術大変だなあ、音欲しいなあ、演技見てくれる人いないのきついなあ、光の操作したいなあ、できないことたくさんあるなあ」は毎日のように思ったし、何より、咳をしてもひとりという圧倒的不安感と孤独感に終わりかけた。公演翌日の夜、記録撮影がやっと終わった午前1時にhpゼロの体で四方へ額ずき、『みんな……いつも…………ありがとう………………』と思った。健やかに切実に、人へのありがたみを感じた舞台経験となってしまった。フローリングで死んだように寝た。
自作について語りすぎると次が作れなくなるというジンクスを信じているので(本当か?)、今回についての話はこれで終わりにします。来月も何かやるつもりで、もう戯曲を書き始めています。楽しみです。

 

 

鮃 2019.01.31