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ぱー
waimai
RisuPon
ぽ
メイ
あやちゃん

バスは眠らない

0時41分。この夜行バスは4列シートで、設定温度が26度。私は1番前、通路側の席に座っている。一度目が覚めたら眠れなくて、ブランケットを頭からかぶって何か書く。知らない女の子が、私の右肩に頭を預けて爆睡している。

夏休みもあと2週間とちょっとで終わるらしい。実感がない。なんやかんやで忙しくて、体感的に前期の延長と変わらない気がするが、休みが明けたら「あれは確かに最後の夏だった」と感慨深く振り返るのだろうか。予定表を見る。休みが終わったらすぐ9月だ。芝居を一本上演して、並行して卒業制作があって、1月の展示が終わったら、恐ろしいかな、もうあっという間に卒業である。先がこう見えすぎているから、私の頭の中はなんとなくもう冬で、銀世界が見える。だから現実の季節のバカみたいな暑さと湿度に違和があって、更に暑い。暑い。あつうううい。季節が揃わない。早く秋になればいい。冬になればいい。

最近の生活は楽しいんだけど書くほどでもない。充実しているのに嬉々として書けない。盛らない生活は、どんなパーティでも地味でささやかなものだ。それが輝くのは、それが過去になった時だけで、人間の記憶の脚色と語りの魅力というものは、もうほんとうにすごい。隣の女の子は寝ていてえらい。

2時にサービスエリアに着いた。バスを降りる人は皆幽霊のようなふんわりとした足取りで光がある方へ歩いていく。やることもないので私もそれに続く。バスのステップを降りたところで、肩が痛むほど凝っていることに気づく。少し離れたところにガソリンスタンドが見えて近づきたくなる。好きなので。

24時間営業の売店を物色すると、桃のお菓子が並んでいて、ははん今福島あたりなのだなと分かる。買い物客は結構いる。眠るためにホットのお茶を買う。隣接する食堂の、隅っこの席でそれを飲む。アチい。振りすぎてキャップを開けた時ちょっと爆発した。テーブルの向こうでは、スタミナ定食とかラーメンとか重ための食事をとる人たちがいる。2時だけど、それを楽しんでいるような感じの顔つきで、かなり深いプライベートを覗き見してしまったような気分になった。

バスに戻ったら急に眠気が来る。車内の電気が消されてしばらくすると、また女の子が私の肩に眠りにきたけれど、まあいいや存分に眠ってくれという気持ち。おやすみなさい。

 

 

uo 2019.08.16